『世界史講師が語る教科書が教えてくれない「保守」って何?』

歴史系YouTuber、著述家、予備校講師・茂木 誠さん

 「保守」と聞けば、多くの人が漠然とマイナスのイメージを持つだろう。これは日本の公教育が「保守主義」を学ぶ時間を取らず、「進歩」や「リベラル(自由)」の反対概念として「保守」を位置づけたことに由来する。そんな現状に「待った」をかけるのが、『世界史講師が語る教科書が教えてくれない「保守って何?」』(祥伝社刊)。

 本書は、第1部 保守思想の世界史、第2部 敗戦後日本の保守政治史、第3部 戦後「保守論壇」の10人、という3部構成でどこから読んでも面白い。著者の茂木誠さんは、TwitterやYouTubeのおススメ機能による言論の画一化に疑問を感じ、真逆の思考や言論にも触れるべきと筆を執った。格差社会にコロナ禍――、いま台頭し始める保守の本質を訊いた。

保守思想の目覚め

 高校生のとき、やっぱり男の子って親に反抗するじゃないですか。それが私の場合、父親に特にヒドくてね。父がなんか喋ってると内心(なんだコイツは……)とか思っていて。丁度その頃、ソビエト連邦が崩壊を迎えたんだけど、父は熱心な共産主義のシンパだった。おかげですっかり目が覚めました(笑い)。

 当時、特に影響を受けたのは、小室直樹先生の『ソビエト帝国の崩壊』という本で、この本はソビエト崩壊の10年前に出ているんだけど、「あと10年でソビエトは崩壊する」と作中でピッタリ言い当てている。これは本当に凄いことですよ。今だったら、「中国があと10年で崩壊する」と予言して当てるみたいなものですから。

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