髙橋 則恭さん(福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校 学校司書)

 館として特筆すべき活動を挙げることは難しいですが、腕が鳴る仕事はむしろ教室からやってきます。例えば本校の教育活動の中軸である探究学習です。課題先進地域である福島県浜通りの地でその課題を捉え、改善策を見出そうとする生徒たちの学びには、図書館が提供できる価値との親和性があります。

「双葉郡で古くから続いていた祭を調べたいです」「新聞記事を何年も遡ることはできるでしょうか」「企画書はどうやって書くのですか」「本格的な映像の撮り方が知りたいです」「昔の手段で製鉄をしてみたいのですが」…どれも楽しいレファレンスです。

自分なりの実践、試みる場

 活動の多くはやがて学校の外へ出て、地域の協力者によって支えられ形になっていきます。もちろん素晴らしい成果を残したものも、あまりうまくいかなかったものもあります。しかし自分なりの方法を探しながら物事を調べ、実践を試みる姿がある。これを私は図書館員として嬉しく思います。

 本校の生徒を特別だと感じるのではありません。目にするのは等身大の悩みや不安を抱えた中高生の姿です。いい日もわるい日もあるけれど、図書館の扉を抜けていくときには少しだけ爽やかな気持ちになっていてほしい。また来てほしい。どこかしょんぼりした背中を見送った日などには、そのようなことを考えます。

続きを読む
2 / 3

関連記事一覧