• Memorial Archives
  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの生活 第6回 里山の豊かさの指標 サシバ

夏に訪れる猛禽

 サシバ(刺羽)という鳥をご存じでしょうか。カラスほどとの大きさで、体全体が黒褐色をした猛禽です( 写真上 枯れ木から獲物を狙うサシバ )。北海道を除く、本州、四国、九州の人里環境に生息する代表的な猛禽ですが、冬には東南アジアやニューギニアに渡って過ごす渡り鳥です。朝鮮半島、中国北部にも生息し、日本には3月末から4月初めに渡ってきます。この鳥は「ビックイー」という独特の大声で鳴きますので、その声で今年も渡って来たことを知ることができ、また生息を確認できます。

里山に棲む身近な猛禽

 サシバが繁殖する環境は、林に隣接して農耕地が広がる里山の環境です。山からの水が沢筋に沿って流れ下り、平たん地に出てからはその両側に水田の開けた環境が細長く続き、さらにその周りをスギやカラマツの植林地、コナラ等の落葉樹の林が取り囲んだ谷津田と呼ばれる環境が、サシバの典型的な繁殖環境です。

 今から20年ほど前になりますが、信州大学の私の研究室の学生たち、それに長野県内で猛禽を研究している人たちと一緒にサシバのほか、ノスリ、ハチクマ、ツミ、チョウゲンボウ、トビといった里山の猛禽類の生態について、集中的に調査したことがあります。

続きを読む
1 / 4

関連記事一覧