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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第7回 人と密着して栄える スズメ

 スズメは長い間人と一緒に暮らしてきましたので、おとぎ話の「舌切り雀」や童謡の「雀の学校」の題材ともなり、「雀の涙」などのことわざ、「ふくら雀」といった呼び名でも親しまれてきました。

開けた環境で栄える

 人とスズメは、いつからこれほど親密な関係になったのでしょうか。私は、稲作が始まった弥生時代からと考えています。日本は四季を通して雨が多いので、縄文時代以前の日本は広く森で覆われていました。その時代には、スズメは河原などの限られた開けた環境で細々と生活していたと考えられます。

 大陸から入ってきた稲作文化により、湿地は開墾され、平地の森も伐採されて水田となり、今日の里の開けた環境がつくりだされました。人々の生活は、それまでの狩猟採集の生活から里地に定住し、集落をつくって暮らす生活にと変わりました。里に開けた環境ができたことで、スズメの生活できる空間はいっきょに広がったと考えられます。水田の米が餌として提供されただけでなく、耕作で餌となる雑草の種子も豊富に得られるようになりました。

 餌だけではありません、弥生時代の集落につくられた茅葺の竪穴式住居は、スズメに営巣場所も提供することになりました。それ以来、人の家屋がスズメの営巣場所となり、今日に至るまで長い間、スズメは人と一緒に暮らしてきました。

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