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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第8回「虎斑模様のフクロウ トラフズク」

ペリットによる食性解析

 トラフズクは他のフクロウ類と同様にノネズミなどの餌を丸呑みにしますので、消化できなかった毛や骨を口から吐き出す習性があります。吐き出されたものがペリットです。このペリットは、冬に塒をとっている木の下にも落ちていますので、そのペリットを見つけ、トラフズクが塒をとっていることに気づくこともあります。

 トラフズクが繁殖した巣から採集したペリットをほぐすと、ノネズミの毛と共に頭骨、下顎骨、歯等が多数出てきました(写真3)。

写真3 ペリットをほぐすと、ノネズミの毛と共に白い骨が多数出てきた。

 ペリットを口から吐き出す習性は、フクロウ類の他、ワシタカ猛禽類、サギ類、カワセミ類やブッポウソウ類などでもみられます。ペリットの内容を調べることで、その鳥が何を食べていたかを知ることができますので、ペリットの分析は、これらの鳥の食性を知るうえで有力な調査方法です。トラフズクのペリット分析から、この鳥の主要な餌はノネズミなどの小型哺乳類で、餌の総重量の60%、多い時には餌のほとんどがノネズミであることが分かりました。

 トラフズクは、平均すると一日に1.4個のペリットを吐き出します。1個のペリットに含まれるノネズミの数は2~3頭ですので、年間に1羽のトラフズクが約1300頭のノネズミを食べていると推定されます。つがいの雌雄ではその2倍、さらに雛に与える分も加えると、年間に3000頭ほどのノネズミを食べていることになります。農家に被害をもたらすノネズミの数を減らすのに、トラフズクがいかに貢献しているかが分かります。

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