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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

清々しき人々 第12回 オリンピック大会で日本最初の女性メダリスト 人見絹枝(1907-1931) 

最初に参加した日本女性

 多数の都市国家が存立していた古代ギリシャではアテネとスパルタが三〇年近く交戦したペロポネソス戦争を代表として、都市国家相互の紛争が数多く発生していました。その状況を改善するため、四年に一度、様々な紛争を休戦にして、スポーツ大会を開催するという行事が企画されました。大会は四種ありましたが、最大規模の大会がオリンピアという都市(図1)で紀元前七七六年から開催されてきたオリンピック大会です。

図1 古代オリンピア(右側にスタジアム)

 これは男神ゼウスに奉納する大祭であることと、選手が全裸で参加していたため、女性は競技に参加することはできず、若年の女性と未婚の女性の観戦のみ許可されていましたが、既婚の女性は入場さえできませんでした。開催日数は五日で、主要な競技は短距離走、中距離走、戦車競争、レスリングやボクシングなどの格闘競技、古代五種競技でした(図2)。勝者への賞金も手渡されましたが、正式の賞品はオリーブの樹冠のみでした。

図2 古代オリンピック大会

 この競技大会は西暦三九三年に開催された二九三回大会を最後に終了しましたが、その精神を継承して、フランスのP・ド・クーベルタン男爵が一八九六年に復活させたのが近代オリンピック大会です。そして参加資格も古代オリンピック大会を継承して初回は男性二八〇名が参加したのみで、女性の参加はありませんでした。日本が参加したのは一九一二年にスウェーデンのストックホルムで開催された第五回大会からです(図3)。

図3 ストックホルム大会の日本選手団

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