野鳥と私たちの暮らし 第10回 春の訪れを告げる身近な鳥 ヒバリ

 雛は孵化してから9~10日間で巣立ち、その後数日間は親から餌をもらっていました。しかし、無事に雛を育てられた巣の割合は少なく、平均は47%と半分以下でした。繁殖に失敗した場合には再営巣しますが、調査した8つがいでは平均で2.3回巣を造っていました。失敗の原因は、畑の耕作による人の害のほか、卵や雛の消失は、ヘビやイタチ、カラス等による捕食が原因と考えられます。

強い警戒心

 ヒバリは、警戒心の強い鳥で、巣を見つけるのが大変難しい鳥です。多くの鳥は、巣への出入りを観察し見つけることができるのですが、ヒバリはそれが難しいのです。地上を歩いて巣に出入りするのですが、保護色であるので見つけにくい上に、他の鳥のようにまっすぐ巣には入らす、ジグザグに歩いてから巣に入るからです。巣から出る時も同様で、捕食者に巣の場所突き止められないための習性です。

 長野市街地の千曲川でカッコウの研究をしていたころ、カッコウに托卵される様々な鳥について、カッコウ卵と自分の卵を区別する卵識別能力がどの程度あるかを調査したことがあります。巣を見つけ、カッコウ卵に似せて作った擬卵をこっそり入れて、その卵が巣から出されるか、受け入れられて温められるかを調べました。ヒバリの場合には、その実験に使う巣をまとまった数見つけ出すのに大変苦労しました。また、50歳を過ぎてからは、その上流の千曲川中流域にあたる場所で、調査地の河川敷内で繁殖するすべての種類の鳥を対象に調査したことがあります。繁殖するすべてのつがいのなわばりを明らかにするか、またはすべての巣を発見することで、繁殖密度と繁殖成功率を明らかにしようとしました。その調査でも、ヒバリには大変苦労しました。雄のさえずりからなわばり数はすぐにわかるのですが、巣が見つからないのです。鳥の巣を見つけるのが得意な私にとっても、ヒバリは手を焼く鳥でした。私がこれまでに発見したヒバリの巣は、10巣に届きません。その多くは、歩いていて足元の巣から飛び出した雌に気づいて見つけたものです。

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