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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第10回 春の訪れを告げる身近な鳥 ヒバリ

 4月中旬から巣作りが始まり、巣は草むらの中の地上に枯れ葉や根を使って丸く造られます。産卵数は4卵が最も多く、次は3卵でした。巣を造り、卵を温め、孵化したばかりの雛を温めるのはすべて雌の仕事です。雄はこの間、多くの時間をさえずりまたはなわばり防衛をしていました。

 卵は、最初の卵が生まれた日から温められますが、全部の卵が孵化するには13日~14日間かかりました。雛が孵化すると、雄はこの時から子育てを手伝い、巣に餌を運んできます。しかし、雄が巣に餌を運んできた回数は、雌の三分の二ほどでした。

 雛は孵化してから9~10日間で巣立ち、その後数日間は親から餌をもらっていました。しかし、無事に雛を育てられた巣の割合は少なく、平均は47%と半分以下でした。繁殖に失敗した場合には再営巣しますが、調査した8つがいでは平均で2.3回巣を造っていました。失敗の原因は、畑の耕作による人の害のほか、卵や雛の消失は、ヘビやイタチ、カラス等による捕食が原因と考えられます。

強い警戒心

 ヒバリは、警戒心の強い鳥で、巣を見つけるのが大変難しい鳥です。多くの鳥は、巣への出入りを観察し見つけることができるのですが、ヒバリはそれが難しいのです。地上を歩いて巣に出入りするのですが、保護色であるので見つけにくい上に、他の鳥のようにまっすぐ巣には入らす、ジグザグに歩いてから巣に入るからです。巣から出る時も同様で、捕食者に巣の場所突き止められないための習性です。

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