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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第11回 雷シギとも呼ばれる オオジシギ

日本が主な繁殖地
 オオジシギ(大地鴫)という鳥をご存じでしょうか。水辺から離れた陸上に棲むジシギ(地鴫)の中で最も大きく、体長約30㎝、嘴の長さ7~8㎝の大型のシギ(写真上:オオジシギは飛びながら鳴く他、地上や樹上でも鳴く。大きく嘴を開きズビーと鳴く雄。)であることから、この名がつきました。雌雄同色の地味な鳥です。

 日本の他、南千島、サハリン南部、ウスリー周辺といったロシア極東で繁殖し、冬にはオーストラリア南東部やタスマニア島に渡って越冬する渡り鳥です。日本では、主に本州中部以北の高原から北海道の平地にかけて繁殖し、日本がこの鳥の主な繁殖地となっている鳥です。そのため、英名は Japanese Snipe です。

 私がこの鳥と最初に出会ったのは、信州大学に入学した年の5月、戸隠探鳥会に参加した時でした。戸隠山がよく見える小清水ヶ原で、この鳥が上空を飛びながら旋回し、大声で鳴きながら急降下するのを見たのが最初です。こんな変わった鳥がいるのかと驚いたことをよく覚えています

天空を震わせる誇示飛翔

 この鳥の最大の特徴は、上空を飛びながら時々急降下する誇示飛翔と呼ばれる行動です。地上から飛び立ち、上空を旋回しながらテンポのゆっくりしたカ、カ、カといった声で数回鳴いた後、ズビーという声を二、三回、続いてズビヤクという声を三、四回発しながら、ザザザ…と聞こえる羽音を立てて急降下し、再び舞い上がる時にはズビヤクと四、五回繰り返します。この1サイクルに5から10秒かかり、しばらく間をおいて繰り返されます。

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