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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第19回 漁業被害をもたらす黒い軍団 カワウ

漁食生の鳥

 カワウ(河鵜)は、全長が82㎝ほど、体重が1.8kgほどの大型の鳥で、全身がほとんど黒い姿をした鳥です(写真上:千曲川河畔の集団繁殖地で卵を温めるカワウ)。河川のほか、湖沼、河口に生息し、最近では数が増え、ほぼ日本中にみられるようになりました。魚が主食の鳥で、水に潜って魚を捕えます。嘴の先は、魚を捕えるのに適したカギ状に曲がっています。首が長いのも特徴です。

 アフリカ、ユーラシア、北アメリカ、オーストラリアなど、世界中に広く分布している鳥です。本州、四国、九州で主に繁殖していますが、最近では北海道でも繁殖が見られるようになりました。ほぼ一年中みられる留鳥ですが、北海道のものは冬に南に移動します。

群れ性の強い鳥

 ほぼ一年中群れで行動し、集団で餌を捕ることが多く、日中の休息、夜の塒(ねぐら)、さらに繁殖も集団で行います。単独でも水に潜って魚を捕えますが、多くの場合は数羽から数十羽の集団で水に潜り、魚を周りから追い詰めて捕えます。

 水辺に近い場所で休息し、塒を取りますが、同じ場所が使われることが多いので、その場所の植物が糞で枯れることもあります。また、集団で繁殖しますので(写真2)、その場所が林であった場合には、数年後には糞で林が枯れることがあります。人の住んでいる場所の近くが塒や集団繁殖地となった場合には、臭い糞のにおい、うるさい鳴き声、集団で飛び回る不気味な黒い姿に、付近の住民からは嫌われ、有害鳥獣駆除の対象になることもあります。

写真2 カワウでは珍しい崖地での集団繁殖
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