野鳥と私たちの暮らし 第20回 世界的に減少が懸念される鳥 カシラダカ

冬に訪れる鳥

 カシラダカは、日本には冬に訪れる鳥です。スカンジナビア半島からカムチャッ半島にかけてのユーラシア大陸の高緯度地方とアリュウシャン列島で繁殖し、日本には北海道から本州、四国、九州に渡って来る冬鳥です。平地から山地の明るい林や林縁、草地、河原、農耕地で冬を過ごします。渡って来た当初は、林縁部などで数羽から数十羽の群れで生活していますが、時期がたつにつれて河原や農耕地といった開けた環境に多く見られるようになり、それと共に群れは大きくなる傾向があります。

 大陸から多数渡ってくる鳥ですので、以前はツグミ、ムクドリ、スズメなどと同様にカスミ網などで多数捕獲され、長い間日本人の食用になってきた鳥です。しかし、カシラダカはその後狩猟禁止となりました。

北に戻る時期に聞かれるコーラス

 冬の間を群れで過ごしたカシラダカは、3月末から4月に北に戻る時期になると、よく晴れた温かい日には林縁の林に集まってさえずるコーラスを歌います。集まって休息しながら、ヒバリの声に似た声で一斉に小声で長くさえずりのです。数分間そのコーラスが続くと、また始まり、それが繰り返されます。

 このカシラダカのコーラスは、厳しい冬が終わったことを告げる鳥たちからのメッセージのように私には聞こえ、毎年聞くのを楽しみにしています。

 このコーラスがカシラダカにとってどんな意味を持つかは、まだ解明されていませんが、北に旅立つ時期の特別な意味を持った行動と考えています。これからの長旅を無事に終えることを祈りながら、北に戻った雄が今度は1羽1羽がこの声でさえずり、なわばりを確立して繁殖する様子を想像しています。

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