『神さまのプレゼントにきづく 12の魔法』

小住 和徳/著 上岡 秀拓/イラスト

夢企画/刊

本体1,200円(税別)

「おまけの人生」まで精一杯生きたい

 例えば、友達と喧嘩をしてしまったとき。失敗をしたとき。自分がどうでもいいものに思えて、とにかく消えてしまいたくなる、そんなとき。ひと先ず頁を捲ってほしい。じゅわっと滲み出るような、温かなイラストが添えられた十二の魔法は、当たり前だけれどおろそかにしがちなもの、知っているけれど気づいていないもの、それらをきっと教えてくれるはずです。

 私に一番深く刺さったのは、十一番目の『おまけの魔法』。ジャンヌ・ダルク、吉田松陰、坂本龍馬など、誰もが知る偉人が生きたのは決して長い年数とは言えません。

「……そう考えると、人生四十、五十まで生きれば、あとは〝おまけ〟。還暦過ぎなら、さらに〝おまけのおまけ〟」

 筆者はそう言います。そんな考え方があるんだなぁ、と目から鱗の思いでした。私にはまだ少し先だけれど、『おまけの人生』まで精一杯生きたい、とも思います。私たちは時に自分を追い込みすぎてしまうことがありますが、そんなとき本書は『でもさ、こんな風に考えたら楽にならない?』と助け舟を出してくれます。本書はきっと、あなたがあなたを愛するための本。誰にだって吹いてくる向かい風、それに飛ばされないための添え木になってくれる本です。

 温みのある絵と言葉でつづられたこの絵本は、読者を丸ごとその温かさで包んでしまうのでしょう。まんまと魔法にかかった、私のように。だから、誰かの心と毎日を支えるこの『添え木の本』を、声を大にしてお薦めしたい。きっと優しくほどかれて、包まれて、幸せな気分になって、もしかしたら涙ぐんでしまうに違いないから。

(評・中京高等学校3年 図書委員長 細井 芽衣)

(月刊MORGEN archives2016)

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