『5000億の銀河と700垓の星をもつ宇宙 天の川からブラックホールまで』

ポール・ロケット/文 藤田千枝/訳

玉川大学出版部/刊

本体1,900円(税別)

神秘と謎に包まれる宇宙を″数″の視点から解き明かす

 あなたは、「宇宙が不思議だな」と感じたことはありますか。そう感じたことのある人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。この本は、そんな宇宙の不思議について分かりやすくまとまっている一冊です。

 本のタイトルにもあるように、この本は〝数〟から宇宙をとらえています。例えば、銀河の数は、5000億個ほどだったり、星の数は、百、千、万、億、兆、京の次の「垓(10の2乗)」を使って700垓個ほどだったりするなど、広大な宇宙を〝数〟で表しています。数字の大きさから、宇宙の大きさをつかむことができるおどろきがあります。「宇宙の星の数をかぞえあげれば、地球の全ての砂浜にある全ての砂つぶの数より多い」と言った科学者もいるくらいですが、一体どのようにして宇宙の星の数を数えたのでしょうか。

 今現在、宇宙のことで分からないことはたくさんあります。なので、今の技術を使って宇宙についてつきとめられる「観測可能な宇宙」の話をしています。そのため、今の技術ではみたりかぞえたりすることのできない宇宙について想像することができます。「もし、エイリアンがいるとしたら15億㎞のかなたにいるかもしれない」と具体的な数字で問われると読んでいてドキッとします。

 今まで宇宙を不思議に思ったことはあっても、宇宙を身近に感じる経験をした人は少ないように思います。しかし、衛星を宇宙に送ることで、世界中がコンピュータと電話で通信できるようになったことなど、宇宙を知ることで、私たちの生活が便利になっていることもあります。これを機会に、宇宙を身近に感じてほしいと思います。

(評・府中市立府中第一小学校 教諭 小澤 亮一)

(月刊MORGEN archives2015)

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