『こだわらない』

葉 祥明/著

日本標準/刊

本体1,300円(税別)

何よりこだわるべき大切なものは?

 “絶対”ということはないと思っています。“ねばならない”ということにも縛られないでいたいと思っています。

「葉祥明さん」といえば やさしい水色の空とやわらかな緑の草原の絵を思い浮かべます。しかし、この本は表紙の青い鳥の絵だけ。絵のない葉さんの本を読んだのは初めてでした。

 読み進めていくうちに、“こだわり”は堅く閉じた感じで、“こだわらない”は柔らかく開かれたイメージがあるなぁと想像しながら、自分の内面と語り合っていました。誰にでもそれぞれが大事にしている“こだわり”は、当然あることと思います。でも、ときどきそれに押しつぶされそうになることもあるのでは?気持ちと身体のバランスが悪いときに、仕事に、友達付き合いに、自分を取り巻く環境に。

 昨秋、ちょっと体調を悪くしたとき原因がわからず、何かストレスがあったのか…、あまり無理をしないようにしなければ…と思い知らされました。一番は、気持ちの負担を増やさないようにと。いろんなことに重い付加をかけずに暮らしたい……なかなか難しいことです。が、変な“こだわり”を持たずにいようと、葉さんは発信しています。

 何よりこだわるべき大切なものは「いのち」とありました。ずっと以前から、芸人の明石家さんまさんの言う「生きてるだけで丸儲け」を、肩に力が入っているときに思い出して肩の荷を軽くしています。生かしてもらっていることに感謝しながら、物事に執着せずに生きたいと改めて思わせてくれる本でした。

(評・石川県立羽咋高等学校 司書 赤倉 美恵子)

(月刊MORGEN archives2018)

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