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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第24回 身近な里の鳥 ホオジロ

繁殖期の生活

 ホオジロの繁殖生態については、信州大学教育学部生態研究室を卒業された山岸哲さんが若いころに長野市郊外の小田切地区(標高700m)で調査されていますので、その研究で明らかにされたこの鳥の繁殖期の生活を以下にご紹介したいと思います

 2月に入るころから雄は短いさえずりを始めますが、さえずりが本格化し、争いなどのなわばり行動を開始するのは3月に入ってからです。この頃になるとつがいが形成され、以後は雌雄がたえず行動を共にするようになり、さえずりの頻度も少なくなります。

造巣

 4月末から5月初めに一斉に巣造りが始まります。巣を造るのは雌で、この時期の巣は枯草などを集め、ほとんどが地上に造られます。巣の外装が出来上がった後は、草の根など細かい巣材で丸くおわん型の巣が完成します。内装が造られる頃から交尾が始まります。巣は一週間ほどで完成し、卵は1日1卵ずつ早朝に産卵されます。産む卵の数は3~5卵で、平均は4.4卵でした。

抱卵

 最後の卵が産まれた日から抱卵が始まります。卵を温めるのは雌です。雌は平均58分間巣で抱卵し、25分間餌を食べに巣から出ます。夜間巣に留まり卵を抱くのも雌で、雄は抱卵しません。抱卵中の雌に雄が餌を運んでくる種類の鳥もいますが、ホオジロの雄はそれもしません。抱卵は11日間続けられ、雛が孵化します。

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