「わたしのマンスリー日記」 第5回 京都「大人の修学旅行」――4月17日の奇跡

「大人の修学旅行」

 私は最後にこう書きました。

 「つい最近のことだが、高校の同級会の一環として『大人の修学旅行』と称して京都を歩く試みをした。中学生や高校生レベルでは京都の魅力、とりわけ仏教思想の理解は難しい。やはりある程度年をとってから歩いて初めて京都の魅力に触れることができるというもの。

 そんな読者のあなたに本書を片手に京都の街を散歩いただけたら、この上の喜びはない」

 私たちの母校(長野県松本深志高校)には修学旅行という制度がそもそもありませんでした。聞くところによると、戦後間もなくの頃貧しくて修学旅行に行けない生徒のことを慮(おもんばか)ってのことだとのこと。同じ理屈で弁当を持って来られない生徒のことを考慮してお昼はどこで食べてもいいことになっていました。母校の伝統は「自治」と「自由」でしたから、そんな精神が後押ししていたのかもしれません。

 本書出版の趣旨は確かに「大人の修学旅行」に供することでした。でもそれは中高生が読むことを拒むものではもちろんありません。いやむしろ中高生にこそ手に取って読んでほしいと願っています。かなりオーバーに言えば本書には京都のすべてが詰まっています。少なくとも修学旅行に求められる範囲の情報はすべてそろっています。しかも「重ね地図でたどる」というこれまでにない手法でわかりやすく解説した本はこれが初めてです。

 中高生の京都修学旅行に役立たないわけがない――次第にそう確信するようになりました。そしてその可能性の扉は思いがけないところから開かれました。4月17日の奇跡です!

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