『思春期を生きる――高校生、迷っていい、悩んでいい、不安でいい』小野善郎さん
『思春期を生きる――高校生、迷っていい、悩んでいい、不安でいい』が今夏、福村出版から刊行した。著者は児童精神科医・小野善郎さん。高校進学率99%、高校が義務教育化する時代の中で、増え続ける不登校児を憂え、中高生の思春期ガイドブックを作製した。思春期とはいったい何か、大人になることとは……、スペシャリストに話を訊いた。
思春期とはどんな時期
思春期は、女子と男子で若干の差異があります。基本的には中学から高校にかけてですが、女子は小学校高学年も入りますね。この時期の子どもたちには、それまでとは一線を画す、強い自己主張が出てきます。これは、子どもから大人に変態する兆候で、むしろ当たり前のことなのですが、保護者や教育者からすると、扱いにくいと感じることが増えていく。一方、子どもたちの視界には、新たな地平が見え始める。そういう時期ですね。
親子関係も再構築に
思春期が始まるまでは、言ってみれば、親の意向に沿った生き方をしてくるんです。子どもも、大抵はベッタリ親に依存している。いつも親の顔色を窺って行動していて、で、そんな風に、親子関係は安定している。それが、思春期に入ると、自分の考えで行動する、というのが始まってくる。これを親子関係のステップで見ると、一旦、親から与えられた行動指針を、とりあえずもうぶっ壊しちゃう、ということになるわけですよ。で、壊すんだけど、その先はまだ見えてはいない。壊してはみたものの、何をすればいいか分からない。親からすれば、良かれと奨めたものをただ壊されるわけだから、当然戸惑うし、憤る……。これが思春期の親子関係の不安定さの要因ですね。