『中高生のための本の読み方』大橋崇行さん
今春、ひつじ書房刊行の『中高生のための本の読み方』。書名は一見、ただの読書案内のようだが、頁をめくれば目次は、理科、古典、音楽、現代社会……、小説ばかりを扱う従来のそれとは一線を画すつくりが広がる。著者の大橋崇行さんは、「小説以外の本があることを知らない子どもは意外と多い。娯楽だけでなく、こんな読書が将来必要になるよという入り口を作りたかった」と話す。人生と本の関り――、その奥行きをスペシャリストに訊いた。
読書離れが叫ばれています
中学までは朝の読書活動(以下:朝読)があるので、一応、最低限が担保されているんですが、それがどうしても高校で途絶えてしまうんです。一部、続ける学校もあるんだけど、大抵の子はそこで一回切れてしまって中々続かない。他にも朝読で読んでいる本にも色々問題があって(笑い)。例えば、ラノベを読むのはいいんだけど、それしか読まないとなると話は別で、そこから先のステップが踏めなくなる。そうすると、本来、身に着けるべき色んなジャンルの本を読む力が蓄えていけないんですね。
読書案内執筆の経緯は
いくら朝読をしても、やっぱり嫌がる子に無理やりというのでは、どうしたって続かないんですよ。もっと言えば、学校図書館の棚にある無数の本の中から一冊を選ぶというのが、実は子どもたちにとって凄く高いハードルなんです。自分が求める、自身のレベルに合った本を手にするのが、まず難しい。街に出ても、いまどき生き残ってるのは大資本の大型書店ばかりです。結局、迎えるのは、図書館と変わらない蔵書の山なので、まずそこを解決する必要がある。子どもたちが最初に手に取る一冊を探せる読書案内があるといいのに……、そう思ったのが始まりで。
本のつくりの着想は
最近は、ポツポツと色んなタイプの読書案内が出るようになってきましたが、少し前まで、中高生向けの読書案内と言えば、全部、小説が対象だったんです。で、じゃあ、小説以外はどうすればいいの? と。当初は、ラノベ(ライトノベル)で、という話もあったんだけど、ラノベだとどうしても古くなっちゃうんですよ。連載が本になるまで、どのくらいの時間がかかるか分からなかったし、実際、足掛け3年の月日がかかった。そんなことから、載せる本は、なるべく古びないもの、漫画なら続きそうなものを選んでテーマごとに紹介することにしたんです。