木原 実さん(気象予報士)

 話の終わり、ライフワークのお天気コーナーを聞くと、基盤にあるのはやはり芝居だ。天気予報という舞台をもらって、それに気象予報士という役をもらって台詞は毎日変わるけれども、伝える事は同じ……。共演の子供たちもいつも後ろにいて、その子供たちも、相手役は毎日違う。でも同じ時間の中で、伝えるべき事を伝えなくちゃ行けない。そういう舞台のロングランをしている――。そんな風に心情を表現した。かつて季節の食べ物や草花を紹介し、お茶の間に爽やかな風を送った〝お天気の時間″も、今はその多くが災害や交通情報に割かれる。しかしこういう時だからこそ、天気コーナーは一服の清涼剤でありたい、そう口にすると、今日は珍しく、『淡竹(ハチク)』という孟宗竹より甘みのある筍の話題を紹介する予定なんです。今スタッフ総出で筍ご飯をつくってるんですよ、と微笑んだ。30年続ける番組も、時代に沿いニーズは変わる。変わらずあるのは、日本テレビ午後7時の天気予報、子供に囲まれた明るい面立ちと、元気な「こんばんは」だけなのかもしれない。

きはら みのる 1960年、東京都生まれ、神奈川県育ち。日本大学芸術学部卒業。レポーター、声優、舞台俳優としての活動を続け、86年より日本テレビの天気コーナーを担当。95年、気象予報士取得。2004年、防災士取得。現在は「news every.」に出演中(日本テレビ、月~金)

(月刊MORGENarchives2016)

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