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『中高生のための本の読み方』大橋崇行さん

現代の学びの核はどこに

 現代は、高度情報化社会が叫ばれて久しいですが、実はインターネット上から取れる情報って凄く少ないんです。こう言うとネット世代は反発するし、ネットにはなんでもあるって思っちゃう人も多いんだけど、特にグーグル検索の上位なんかは、薄味のテンプレートで埋め尽くされている。もう今ってインターネットからは意外と情報を引き出せなくなっているんですよ。じゃあ結局、私達はどう情報を得たらいいんだろうって考えたときに、やっぱり動画じゃ危ないんです(笑い)。動画よりはまだ、本の方が正確性と信頼性は上なんですね。もちろん本の中にも危険なモノ――ファクトニュースのようなのもあるんだけど、それがファクトであると気付くにも、やっぱりそれなりに沢山の本を読みこんでなきゃいけない。何が正しくて何が間違いなのか、自分で判断する能力って凄く大事で、じゃあ、それをどう身に着けるかって考えたときに、まだ本の持っている力ってあるんじゃないか、そんな風に考えているんです。

おおはし たかゆき 作家、日本近代文学研究。東海学園大学人文学部人文学科准教授。小説に『遥かに届くきみの聲』(第1回双葉文庫ルーキー大賞)、「司書のお仕事」シリーズ、『小説 牡丹灯籠』など。研究書に『言語と思想の言説』、『小説の生存戦略』(共著)などがある。

(月刊MORGENarchives2021)

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