大門真優子さん(衣装デザイナー)

「アメリカから帰って、いま自分に何が必要なのか考えたときに、これからの自分を説明する資料がいると気付いた。向こうで作った作品もあったけど、もっとたくさん必要だと。それで大学院に進もうと……」

 丹念に育てる夢の木が芽吹いたのは大学院1年のころ。俳優・菅田将暉のファッションデザインを手がけることになったのだ。友人づてに受けることになったこの仕事が評判を呼び、在学中からそのキャリアを歩み始めることになる。

 いまは個展やイベントに忙しくする毎日。自ら手がける衣装を身にまとい、そのキャラクターを取り巻くすべての世界を、映像や画像で表現する。衣装展示やコラボレーションも活発に行い、独自の世界観はいままさに満開の様相だ。とはいえ、そこは未踏のルート。難しさは、と訊ねると、

「よく、大変じゃないの、と言われるけど、ひとつ新しいことを学ぶたびに、自分の夢に近づいている感じがするんです。支えてくれる両親、仲間との出会いもある。だから全然大変とかはないですね」

 透明な視線を走らせ、やっとやりたいことを始められた。これを足がかりに、もっといろんなことを進めていきたい。自分はまだ歩き出したばかり――そう微笑った。どこまでも自分に正直に、まっすぐに。大門さんの世界は煌めいてゆく。

だいもん まゆこ 1991年、埼玉県生まれ。文化学園大学で映画・舞台衣装デザインを専攻。在学中にニューヨーク州立ファッション工科大学に1年間留学。大学卒業後、文化学園大学大学院に進学し、フリーランスのデザイナーとしての活動を開始。多方面にわたるアートディレクション・衣装デザインを手掛けながら、独創的で超現実的な作品を発表し続けている。

(月刊MORGENarchives2018)

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