鈴木 勢將さん(INS&カンパニー株式会社代表取締役社長)

大越 その後ゲーム会社でお勤めを

鈴木 ほんの一年ぐらいですけどね。ナムコっていう会社で働いて。ところがちょうどその頃、北海道で車のディーラーをやっていた父が、会社を傾けてしまった。どうやら父には経営の才覚があまりないようで、それで仕方なく僕が戻ったという形です。でもやっぱり最初の5年ぐらいはなかなか従業員に言うことを聞いてもらえなかったですね。

大越 今のお仕事の状況を少し聞かせて下さい。

鈴木 そうですね。僕は基本的には自動車のディーラーの社長をやっています。で、ちょっと紆余曲折あってカフェもやっているというような感じで。コーヒーの方は、元々、世界で国外に五カ国出店できればいいなというようなことを漠然と目標にしているんですが、それがあと二、三ヶ月ぐらいで決まりそうなんですね。シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシアでちょうど五か国。だから、次はどうしようかなと思っているところです。

大越 社長は発想がすごい。だから日本という枠を超えていく。これを難しく言うと「脱構築」って言うんだけど、それはうちの塾生たちもそう。親とか家庭とか学校の枠を出ただけで別に悪い子じゃない。

鈴木 この「脱構築」っていうのは凄く簡単に言うと、例えば何か学校でトラブルや問題を抱えたとき、すぐ人って辞めるか馴染むかみたいな究極の2択になっちゃうじゃないですか。そこに何か違う選択肢を与えることなんです。やめるというのではなく、かといって適応するというわけでもない選択肢のあり方――それが僕の中の「脱構築」です。単純に黒か白かという二項対立に囚われない考え方を持つことで、意外と人間って人生に幅ができて余裕が持てる。こういう考えにいたったのは、過去に長く引きこもりをしていたからなんです。長いヒキオタニート生活を抜けて今ここにいるわけですが、当時の僕は、特に何かに染まる必要もなく、何かに属することもなかった。少し寂しかったけれど、それはそれで楽しくもあって、ただ何をしなくてもいいっていうだけの時間だった。でも、それがあるから今の自分があるっていうか。ただ、だからと言って「無理に学校に行くな」とは言いにくいんですけどね。だけど、ふと学校に行きたくなくなったとき、馴染めないと感じたときに何かもう少し違った選択肢があれば、もうちょっと生きやすくなるんじゃないかなとは思います。第二の道というか――。それで「脱構築」という言い方をしてるわけです。

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