田中 将介さん(フリーライター)
区長選出馬の経緯は
2017年10月の衆院選挙で『希望の党』ができたとき、全く候補者が足りずに僕にも電話がかかってきた。結局そのときは断るんだけど、そうか選挙に出れる年齢なんだ――と強く印象に残った。それからまたしばらくあと、今度は練馬区長選挙の情報が流れて来て……。調べてみると、現区長は引退間近で勢いに陰りが見える。にも関わらず有力な対抗馬も見当たらない。それで、日頃から、SNSコミュニティの細分化による若者の孤立、分断は気になっていたし、その根底にある社会の閉塞感をどうにかしたい、という想い。なにより、行動しないで愚痴や苛立ちをSNSで発散する人間にはなりたくない……。じゃあここはひとつ勝負してみようと。
結果は落選。感じた壁は
「無所属」の難しさは感じましたね。相手にされない悔しさみたいのはやっぱりあって……。ブーイングしながら通り過ぎる人や、25歳? せいぜい頑張れよ、だとか――。普段は「若い人頑張れ」と言っている人が、いざ僕が出馬するや、急に、「そんなまだ早いよ」とコロっと変わったりする。気にしないようにはしていたけど、やっぱり悲しかったですね。
逆風のなか仲間の存在も
それこそお金も、地盤も、組織もないですけど、ほんと初日には100人くらいがボランティアに来てくれて、ポスターを張ってくれた。見ていると学生も多かったけど、僕と同じくらいの世代も多い。みんな仕事帰りに、その1時間のためにきてくれる人も多かった。土日は仕事が休みなので、わざわざ休日を使って手伝いに来てくれたり。なにで知ったかはわからないけど、立教大学の5、60十代の方が毎日来てくれて一緒にビラを配ってくれて。まったく面識はないんだけど、立教の後輩だから応援しなきゃと駆けつけてくれたりだとかしましたね。
選挙に出て得たものは
政策のつくりかたや選挙演説の仕方といった、いわゆる政治家の基本動作みたいなものは知りましたね。あとはやっぱりいろんな社会問題がはっきり見えてくるようになりました。例えば都内の大きな課題として待機児童ゼロがありますが、それを僕が口にしてもなんの説得力もない。情報としてはそれはもう沢山調べたけど、ネット上の知識をひけらかしても意味はない、と選挙戦ではあえて言わなかった。でも実際こうして出てみると、待機児童の問題もくっきりと浮かび上がってくる。じゃあもっと勉強してみよう、といまは思うんです。だから本当に出てよかった。