鈴木 勢將さん(INS&カンパニー株式会社代表取締役社長)

 鈴木勢將さんは新進気鋭の実業家である。手掛ける事業の一つバリスタートコーヒーは、コーヒーを入り口に酪農畜産王国である北海道産の良質なミルクを生産者の想いとともに世界中に届けるのがコンセプトだ。東アジアを中心に5カ国への展開が目前だが、その精力的な活動とは裏腹、若い頃には引きこもっていたというから驚きだ。自らを「ヒキオタニート」だったと言って憚らない異才にその歩みを訊いた。

※このインタビューは大越俊夫(ダルボイ・アカデミー塾長大越)さんの著書『子どもの脳幹が危ない! スマホ・コロナに負けない釣りの脳活効果』出版記念パーティー内で行われたものです。

大越 小・中時代のことを聞かせてください。

鈴木 小中の頃は、今でいうADHD――多動症でした。僕、手を振る癖があるんですよ。なんか手を振る……。手が勝手に動く感じで、とにかくじっとしていられない子どもだったから、低学年の時はすごく先生に怒られた。そんな調子だから中学年の頃にはもうグレてました。とにかく学校がつまらないんです。で、そうすると先生たちはみんな、「つまんないんだったら帰れ」と言うので、それを真に受けて素直に帰る良い子でしたね(笑)。

大越 何でこんな早く帰ってきたのって、お父さんお母さん心配するでしょ。

鈴木 そうですね。母は22のときに僕を産んだので、当時はまだちょっと若くて。でも、環境が田舎だったもんですから、他に選択肢がないんですよ。課外活動とかクラブや習い事だとかの他に居場所を持てないので、学校に馴染むしか道がない。で、僕はそれが駄目だったんですよ。それで仕方なく、近くの小さな町にあった塾に入った。勉強に関してはそこでカバーした感じですね。ただ北海道って、内申点(学校の成績)の割合がすごい高いんですよ。僕は国語英語数学理科社会の5科はそこそこできたんだけど、音楽とか実技系の科目が全然ダメで……。10段階評価で2とかを貰ったので、ちょっと普通の公立高校は難しいみたいな感じで。それで遠くの私立に行くことになった。

大越 遠くと言うと東京ですか?

鈴木 いや、遠くと言っても函館ですが、それでも8時間ぐらいかかるんです。そこに一発受験で入って。でも、結局その学校でも馴染まないといい成績貰えないわけで、そこで一瞬、(やっぱり俺はちゃんとした方がいいのではないか?)って考えたんだけど、たまたま私立っていう選択肢があったので、何とかそれに迎合せずに済んだというか。

大越 つまり学校とか家庭とかいう枠の中に入りきらないんですね、感覚的には。

鈴木 そうですね。だから今こういう風になって、僕も今年46になるんですけど、まだ両親が健在なんで、両親と当時の話を――どうすれば良かったのだろうかっていうのはたまに話します。

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