伊達 深雪さん(京都府立久美浜高等学校 学校図書館司書)
「さわっていいよ」と背中を一押しすることが、それまでの本校図書館には足りなかったのかもと思い、体験を伴う読書の推進に舵をきりました。地域のありふれた鉱石や落ち葉を集めて、本で調べたり顕微鏡で観察したり、貝合わせや香合わせなど文学に登場する遊びを実際に体験してみたりすることで、読書で得た知識や想像を補います。LLブックや布絵本などの多様な形態の本に触れたり、アイロンビーズで漢字の意味を絵で表現したり、硬貨で拓本をとって意匠から歴史を読み解いてみたりするなどのワークショップを通して、身近な物事から興味を喚起し、知識や理解を深めるための読書を推奨しています。
2019年には、読んで知識を得るだけでなく、知り得たことを他者に伝えることを通して、自身の学びを深めるワークショップ「ウィキペディアタウン」もサポートしました。地域の方々にも協力をいただき、郷土について本で調べたことを、生徒達が自分なりにまとめ、オンライン百科事典Wikipediaに記載しました。いつか卒業して地域社会に出て行く生徒達の学びや読書の場を、図書館を拠点としつつも、より広い社会へと視野を拡げてゆくことで、「読みたい」「学びたい」気持ちをどこまでも育てて行けたらいいな、と、思っています。
(月刊MORGENarchives2020)
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