柄本 佑さん（俳優）

　俳優・柄本佑さん。名優・柄本明、角替和枝を両親に、弟、伴侶も、役者。しかも、妻の父はこれまた名優の奥田瑛二、と、まさに芸能一族のサラブレッドだ。中学での映画デビューを皮切りに、次々と賞を手にする実力派は、生粋の映画好き。イキイキと役をこなしながらも、いつかは映画を撮りたいと、夢見続ける。その核はどこに……。十代の地図を開いた。

どんな少年時代を

　ともに俳優の両親は、どちらかと言えば留守がちで。だから、隣近所や、街にも育ててもらっていましたね。二人が仕事でいないときなんかは、兄弟３人、連れ立ち、レストランにブラっと行って、食べて帰る。で、お代は後々両親が支払いをする……。そんな風に、子ども時代の３割、４割を、街のお世話になった感覚がありますね。

そのころの興味の中心は

　特別これといったものはなかったと思います。周りの子と同じように、流行りの玩具や模型を手に取ったり、流行の漫画を読んだり。割と普通の子どもだったと思います。でも、一回、母に「お前は乱暴者だ」と言われたことがあって。どんな状況だったかは思い出せないんですけどね。

中高ではどんな生活を

　中高のころは大人しかったし、友達もいなかった。専ら本ばかりを読んでいました。友達がいなかったのは、友達を作るよりも、映画を見に行ったりする方が好きだったから。その頃にはもう、本や映画が大好きで、そういうものに熱中していると、自然、一人のことが多かった。

中３で映画デビューを

　はじめて映画に出て、現場を踏んで……。が、実はそのころの夢は映画監督になることだったんです。役者を経験してもその気持ちは変わらず、「俳優になりたい」とはならなかった。それでも、得るものもあった。役を演じること、モノづくりの楽しさに、心が芯から熱くなった。刺激的だった。