中村 憲剛さん(元プロサッカー選手)
第2の人生の現在の世界は?
新たなスタートからまだほんの3カ月半ですが、本当にいろんな世界があると驚いています。凄く刺激になっているし、それを経験にしながら、この先自分がどんな選択をしても対応できるように勉強しなきゃいけないな、とも思っているんです。仕事で大事にしてるのは、一緒に仕事をした方に「今日は一緒にやれて楽しかったな」と思って帰ってもらうことです。誰でもいいわけではなく、僕に期待をしてオファーを出してくれていますし、僕もその期待に応えたい。この姿勢は現役のときから全く変わらないです。それに僕に求められているのは、僕がやってきたこと、経験してきたこと、培ってきたことを伝えることで、誰でも出来るわけじゃないはずで、そこに対する責任は感じています。
今後挑戦してみたいことはありますか
川崎フロンターレで18年間お世話になって、本当に何でもない大学生だった僕をJリーグや日本サッカー界は育ててくれた。そのすべてに感謝をしています。そういう意味では、今いろんな選択肢が目の前に転がっていますが、何か一つに絞るのではなくて、自分の培ってきたものを色々なところで還元していきたいというのはあります。この先どんな職業に就くかはまだわかりませんが、とにかく今は、幅広く様々な活動をしながらサッカーの普及に貢献したいと日々を送っています。
サッカー指導者として大事にしていることは
指導をし始めたばかりで言うのも何なんですが、僕の言葉がすべてじゃないということですね。むしろ、子どもたちには僕の想像を超えて行って欲しいんです。僕は、あくまで指導者であり、一人ひとりの個性や成長速度を見て、経験から得た知識で手助けをする立場なので、それをどう生かすかはプレーヤーである子どもたちそれぞれが自分の頭で考えて実践して欲しいです。今はそういうスタンスなので、何々をしろ何々をやれとかは一切なくて、子どもたちがこちらの言葉をうまく活用して成長してくれればそれでいいです。今は凄く情報が氾濫していて、それを自在に使える一方で、子どもも大人も自主性がスポイルされる傾向があると思うんです。だから余計にこういうやり方は難しいのですが、それでも、その子のためを思い、熱意を持って指導をすれば必ず子どもたちに響くと思っていて。だからいつもその子を思い、熱意を持って全力でぶつかっています。
なかむら けんご 1980年、東京都生まれ。中央大学卒業。キャプテンとして臨んだ4年時に関東大学リーグ2部で優勝し、1部復帰を果たす。2003年、Jリーグの川崎フロンターレ入団。以降、現役を引退する2020年シーズン終了まで、キャプテンを務めるなどチームの顔として活躍。2016年シーズンJリーグ年間最優秀選手。2017年、2018年J1リーグ連覇。また2006〜2013年、日本代表に選出され2010年のワールドカップ南アフリカ大会に出場。現在は中学生対象のKENGO Academyのサッカースクールを主催、児童虐待防止を呼び掛けるピンクアンブレラ運動を展開している。
撮影:編集部
(月刊MORGENarchives2021)