志尊 淳さん(俳優)
体重調整に難しさは
最初はやっぱり大変でしたけど、それが仕事なので。ボクサーズと一緒ですよね。減量しないと試合が始まらない。そういう感覚でやってます。誰の管理やアドバイスもなく、基本一人ですね。「やせたい」と思うのも自分自身なんで。
『走れ! T校バスケット部』を演じて感じたことは
一見すると普通の青春映画なんだけど、実はこの作品はメッセージ性がすごく強くて多い。だから見る側の観点次第で、受け取るメッセージが変わると僕は思っています。その中で僕が印象的なのは、物語終盤、それぞれの道が描かれるんだけど、みんながみんなバスケットに進むんじゃないわけです。バスケットを続ける人もいれば、違う選択をする人もいる。それぞれ別の道を選ぶんだけど、糧となっている部分はみんな同じで、高校の部活動なんです。みんな一丸で一つの目標に打ち込んだ日々は、絶対に無駄になっていないし、そこからこれからの自分ていうものも作られてくる……。何かに打ち込んだ日々は、経験としてすごく残るんだな、というのを、この作品を通じて強く感じました。
演じるうえで苦労は
とにかくバスケットがうまくならないと作品がはじまらないので、そこの重圧はやっぱりありましたね。とにかく、演者各々、できる限りのことはしたんじゃないかと思ってます。
イジメを受けるシーンから物語は始まりますね
いまはちょうど世間でイジメ問題が多く取り上げられています。そういう意味では、映画に出てくるイジメも単なる描写でなく、現実に起きていることとして、見る人に受け入れられやすいのではないかと思います。イジメは、受ける側の捉え方次第で、誰しも被害者になる可能性があるものです。僕自身、いま振り返って思い当たることはないけれど、でもそういう瞬間はそれぞれにあるんじゃないかなと思うんです。そういうときは、逃げたっていいんだ、転校したっていいんだゾ、と。逃げたって何をしたって前を向いてやっていれば、自分が自分でさえい続ければ、周りが支えてくれるし、周りにとって素敵な自分がきっといる――。そう訴えかけるこの作品が示す新しい道に、僕自身も救われたし、いろんなことを考えさせてもらいました。人の人生や教育というのにも働きかける力のある映画だと思うので、ぜひ沢山の人に足を運んでもらえたらと願っています。
しそん じゅん 1995年、東京都生まれ。2011年、ミュージカル『テニスの王子様』で俳優デビュー。2014年、テレビ『列車戦隊トッキュウジャー』主演。その後も『きみはペット』『植木等とのぼせもん』『太陽を愛したひと』『半分、青い。』など数々のドラマに出演。『帝一の國』『探偵はBarにいる3』など話題映画にも出演。最新主演映画『走れ!T校バスケット部』が11月より公開。
(撮影:編集部)
(月刊MORGENarchives2018)