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青木 さやかさん(お笑いタレント)

お笑いの世界にはどうして

 別にそれがやりたくて入ったわけじゃないんだけど、仕事で共演するたびに芸人さんたちが「スゲェよ!」って言ってくれるんですよ。そんなテレビに出てるような芸人さんたちが、「面白いよ」って言ってくれるんならそうなのかなァって、それで入って。そんな調子だからみんなが笑っていることに関しては深く考えませんでしたね。なんか笑ってるなァって。で、笑いが起きたら一旦黙って、また喋って、でまた笑い待ち……、よくわからないこともありつつも、売れさせていただきました。

売れて一番変わったのは

 私の場合、スゴくお金のない生活から一息にお金のある生活に変わって、その中間がなかったので、そこは難しかったですね。お金を持つようになってから、色々なものを買ったり、引っ越しもしたりしたけど、結論としてそんなに使い道ってないな、と思ったし、お金って怖いなって思いました。というのも私が売れた途端、「お金を貸してください」という人が一気に増えて。そして貸しても返してくれる人はあまりいなかったんです。で、そうなると、あんなに仲が良かったはずのに、お金を介するとこんなにも気まずくなるんだなというのを痛感して。——お金は貸さない方がいいというのを学びました。それくらいならいっそお渡しする方がよいのかなと。

結婚、出産を経て変化は

 生活はガラリと変わりましたね。ちゃんと朝起きて3食作ったり……。ただ、自分が親になることで、凍りついた母との関係が氷解するというのはなかったです。それでも、『母』の中にも書いた友人の言葉、〈親孝行は道理だ〉というのに従って、母がホスピスに入ったのを機に、関係の修復には努めました。

氷解しなかった根本は

 何か嫌悪感がありましたね。親というものにもそうだし、教師だとか女だとかそういう全部に。だからどうやっても自然に溶けるものではなかったです。自分が親になってもやっぱりそれは変わらなくて、親になってはじめて分かることも増えたけど、だからといってすべてが変わるわけじゃない……。自分自身を見ても相変わらず危うさは抱えていますしね。

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