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飯沼 誠司さん(プロ・ライフセーバー)

競技以外にも地域に密着した活動もされているとか

 千葉県の館山市で。もともと千葉でも有数の海水浴場なんですけど、ライフセーバーがいなくて。地元の自治体から相談を受けて、じゃあチーム作ろうかと、10年前のことです。海外を見てるとジュニアの育成が凄いんですよね。オーストラリアではスイミングスクールやサッカースクールに入るように、教育、健康を考えて保護者がライフセービングをやらせます。なおかつそれが水辺の自助術に繫がっていくんです。僕らもどうせやるんならジュニアからそういうことをきちんとやっていこうと決めて。ゆくゆくは土地の人が地元の海を自分たちで守っていけるようにと。ここ数年でようやく教えていた子供たちが高校生になり監視に立ち始めて……。そういう長いスパンで裾野を広げていこうと、最近は世田谷でも新たに開講しました。

若者にアドバイスを

 僕は、こうなりたい、とかこうしよう、というのは昔から人には言おうと思っていて――。言うと応援してくれるんですよね。駄目でも「残念だったね」と言葉をかけてくれる。それでどこか自分も整理できてまた次へ向かえる。恥ずかしいとかじゃなくて、言葉にすると責任感が出てくるし、なにより、行動と言葉がつながって見える事は、周囲にも良い影響を与えるんですよ、俺も頑張ろうって。シンプルな話しですけど、そういう相乗効果は大事だと思うんです。目標なんていくつあってもいいし、途中でどんどん変わってもいい。口にすることで世界は開いていくんですよ。

いいぬま せいじ 1974年、東京都生まれ。東海大学体育学部卒業。在学中にライフセービングに出合い、卒業後はライフセービング競技の本場オーストラリアにて日本人初のプロ契約を結ぶ。2006年、館山サーフクラブを設立。10年、世界選手権SERC競技銀メダル。14年、早稲田大学学術院社会人修士修了。一般社団法人アスリート セーブ ジャパン 代表理事。

(月刊MORGENarchives2016)

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