依田 司さん(気象予報士)
ウェザーニューズに入って一番変わったのは
やっぱり、日々、気象関係の資料に接するわけです。それはもう、そういうものに触れるのと触れないでいるのでは、雲泥の差です。片手間で気象の勉強をするのと、本職でやっているのでは全然違いますよ。気象予報士の試験も、ウェザーニューズに入る前はまだ部分合格だったのが、入ったらすぐに受かっちゃいましたから。
夢を叶えていま思うことは
仕事以外の部分では、例えば人間関係とか、どうしても大変なときもありました。それでも、何があってもブレずにこっちにきて良かったなと思いますね。いまはホントに毎日仕事が楽しくて仕方ないんです。僕がお天気キャスターの頂点として描いていたのが、オリコンのお天気キャスターランキング一位なんですよ。それをずっと目指してやってきた。これまでどうしても三位までしかなれなかったのが、今年初めて一位になった。そういう意味では凄く達成感もあるし、そこから派生する仕事も増えた。いまは本当に忙しくて、深夜に出て朝に帰ってきて、また出かけるなんていうのもザラです。日に六、七時間も車に揺られることもある。休みもまったくないので、コレって多分、凄いハードなんです。それでも、体ひとつ壊さず、楽しくやれているので、幸せとしかいいようがないですね。
お天気キャスターとして心がけることはなんでしょう
相手のある仕事だというのは常に意識していますね。テレビの世界って、兎角、一方通行になりがちなんですよ。とりあえず情報を投げときゃいいや、となる。でも、それだと、それで終わりになっちゃう。そうじゃなくて、こっちが発信したものを受け手側がどう思っているのか、何をやったらみんなに引っかかるのか、というのを強く意識してやってきた。だから滅茶苦茶エゴサーチします。あと、お天気の方で言えば、昔から〝煽らない″ことを意識していますね。煽りすぎると結局「オオカミ少年」になってしまうわけです。番組側は視聴率など、とにかく煽らせたい事情もあるので、そこは戦いです。そして逆に、本当に危険な時は目いっぱい〝ワーニング″を出す。メリハリですね。そういうのも支持されてきた一因と思います。
若者にアドバイスを
好きなものをトコトン突き詰めてほしいと思います。小・中・高と過ごすと、だんだん、社会の現実を前に、小さいころの夢がしぼんでいく子って多いと思うんです。情報過多な世相もあって無理もないんですが、そこをグッとこらえて一歩前に突き進んでみてほしいんですよね。そうすると必ずこの世の中って、そっちに行く何らかの手段や、抜け道が隠れてるんです。だから、それを最後まで諦めないで探してもらいたいですね。
よだ つかさ 1966年、東京都生まれ。1989年、東海大学海洋学部卒業。NEC勤務を経て、1995年気象予報士取得。同年、気象情報会社「ウェザーニューズ」入社。1997年、テレビ朝日「スーパーJチャンネル:ヤン坊マー坊天気予報」で地上波テレビデビュー。2004年、森林インストラクター取得。「報道ステーション」などテレビ朝日系の情報・報道番組の気象予報及びキャスターを務め、現在は同局系「グッド!モーニング」「サタデーステーション」に出演中。2018年、オリコン「好きなお天気キャスターランキング」にて1位を獲得。
(撮影:編集部)
(月刊MORGENarchives2018)