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鎌滝 えりさん(女優)

『子どもたちをよろしく』について聞かせてください

 今回の映画は、過去の自分と重なる部分が結構あって……。だから、この映画のオーディションが自分に来たとき、そもそも運命的だと感じました。この役は、優樹菜は自分がやりたいな、と強く思って。オーディションでは、その想いを真っ直ぐに伝えました。こういう作品をやって、じゃあ今後、自分がどういうことが出来るかな、と、そういうことを考えるきっかけにもなりましたね。

重いテーマ、役どころですが、どんなふうに昇華を

 個人的には、ぜひ演じたかった役が出来たのでそれは嬉しいんですけど、映画全体が持つ印象は、決してハッピーなものではないかもしれませんね。でも、それがこの映画の持つ味だと思うので……。必ずしも万人が幸福感を持つタイプの映画ではないけれど、見た人それぞれの心に色々の何かが引っかかり、それが必ず、明日への希望を生んでいくと信じています。そこはしっかり伝えていきたいと思っているんです。

社会の闇の縮図のような映画だと

 毎日のニュースを見ても、実際にこの映画のように、とても苦しい思いを抱えて日常を送る子どもたちが沢山いると思うんです。そういった側面からも、この作品はしっかりとした問題提起になっていると感じていて……。本当に今の時代だからこそ出来た映画だと思います。

ご自身、映画を通して一番伝えたいことは

 物語のラスト、主人公たちは、それぞれの選択をするわけですが、ほんのちょっとの行動が、戦う意志になり、やがて新しい結果を生んでいく……。本当は、何もしないでいる方が楽だし、それでいいのかもしれないけど、少なくとも、行動を起こすことで、何か人間らしさみたいなものをそこに見出すことは出来る。そんな正解のない光景を前に、見た人それぞれが、素直な感想や気持ちを持ってくれればいい。そして願わくば、そこに希望を抱いてくれたら嬉しいですね。

演じる上で難しかった、苦しかったことは

 優樹菜が弟に、ある辛い決断を込めた手紙を書く場面があるんです。それは私が自分で書くことになっていて……。それを書いていたとき、カメラが回ってないのにも関わらず、心がバラバラになってきた。そういう決断をするって凄く心が痛かったというか、優樹菜としてもそうですが、現実にもこういう決断をしてる人がいるんだよな、と思うと、凄く心が痛かったし、苦しかったです。そういう経験をさせてもらって良かったなって。

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