「野鳥と私たちの暮らし」人と密着して栄える スズメ
最も身近な鳥
スズメは、私たちの暮らしの中で最も身近な鳥です。家から外に出ると、屋根の上、電柱や電線など私たちの住んでいる周りで最もよく見かける鳥です。ですので、日本ではスズメを知らない人はいないと言えるほど身近な鳥です。しかし、それほど身近であるにもかかわらず、スズメは私たちの周りで何を食べてどんな生活をしているのかについては、あまり知られていないように思います。
体長14㎝ほど、体重20gほどの茶色の地味な姿をした小鳥で、雌雄同色のため外見からは雌雄の区別ができません(写真上:スズメの特徴は、頬にある黒い班)。ヨーロッパから東の端の日本、東南アジアといったユーラシア大陸に広く見られる鳥です。日本では、小笠原諸島を除く全国でほぼ年間を通して見ることのできる留鳥です。繁殖の時期には、ビルや家屋の隙間、電柱のポールなどの穴に巣を造り、つがいの雌雄が協力して子育てをしますが、繁殖を終えた夏から秋、冬には農耕地などの開けた環境で群れて生活します(写真下:餌台に置いたヒエなどの餌に群がるスズメ)。春から夏には昆虫が主食ですが、秋から冬には草の種子が主食にと変化し、春には桜の花の蜜も食べる雑食性の鳥です。
スズメは長い間人と一緒に暮らしてきましたので、おとぎ話の「舌切り雀」や童謡の「雀の学校」の題材ともなり、「雀の涙」などのことわざ、「ふくら雀」といった呼び名でも親しまれてきました。