「野鳥と私たちの暮らし」身近な鳩 キジバト

都市から山地に生息                          

 頭が小さく、ずんぐりした体形が特徴のハト類の中で、キジバトはドバトと共に日本では最も身近なハトです(写真上:翼のウロコ模様がキジの雌に似ていることが名の由来。)。雌雄同色で(写真下:アンテナに仲良くとまるキジバトのつがい。雌雄同色。)、地味な姿をしています。

 体全体が灰褐色で、首の横には濃い青と黒の縞模様があります。キジバト(雉鳩)の名は、翼の部分が黒に茶色の縁が付いた鱗状の羽に覆われ、その模様がキジの雌の模様に似ていることに由来します。かつては、山地に多く生息していたことから別名「ヤマバト」とも呼ばれます。ほぼ全国に生息し、北海道のものは冬南に移動しますが、本州、四国、九州では留鳥です。

 もともとは警戒心の強い鳥でしたが、1960年代に都市での狩猟が禁止されたことにより次第に人に慣れ、70年代になると都市で生活するキジバトが増えてきました。今ではスズメやカラスなどの次によく見かける身近な鳥になり、現在では都市から山地までのさまざまな環境に生息しています。日本の他に、インドから東南アジア、中国、ロシア南部にかけてのユーラシア大陸東部に分布するハトです。ですので、日本を訪れた欧米の研究者やバードウオッチャーにとっては、日本で見たい鳥の一つになっています。

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