「清々しき人々」人類史上最高の知能とされるジョン・フォン・ノイマン

 戦後になってからもノイマンは数多くの国家の重要な役割に任命され、能力を発揮します。一九五三年に就任したアイゼンハワー大統領が設立した五名で構成される原子力エネルギー委員会の委員に任命されていますし、アメリカ空軍に設置された通称「フォン・ノイマン委員会」を主導し、戦局を左右する気象予測の精度向上という理論分野だけではなく、空軍の戦略ミサイルの開発にも多大の貢献をしています。  残念ですが、この巨人も放射線の威力には対抗できませんでした。被曝による人体への影響が十分には解明されていない時代でもあり、戦中には原子爆弾の開発をしていたロスアラモス国立研究所での仕事や戦後の太平洋上での原子爆弾の実験に参加したことなどの影響で一九五五年にガンが発見され、翌年には首都ワシントンにあるウォルターリードに入院しますが、一九五七年二月に死去しました。五三歳でした。

つきお よしお 1942年名古屋生まれ。1965年東京大学部工学部卒業。工学博士。名古屋大学教授、東京大学教授などを経て東京大学名誉教授。2002─03年総務省総務審議官。これまでコンピュータ・グラフィックス、人工知能、仮想現実、メディア政策などを研究。全国各地でカヌーとクロスカントリーをしながら、知床半島塾、羊蹄山麓塾、釧路湿原塾、白馬仰山塾、宮川清流塾、瀬戸内海塾などを主催し、地域の有志とともに環境保護や地域計画に取り組む。主要著書に『日本 百年の転換戦略』(講談社)、『縮小文明の展望』(東京大学出版会)、『地球共生』(講談社)、『地球の救い方』、『水の話』(遊行社)、『100年先を読む』(モラロジー研究所)、『先住民族の叡智』(遊行社)、『誰も言わなかった!本当は怖いビッグデータとサイバー戦争のカラクリ』(アスコム)、『日本が世界地図から消滅しないための戦略』(致知出版社)、『幸福実感社会への転進』(モラロジー研究所)、『転換日本 地域創成の展望』(東京大学出版会)、最新刊「AIに使われる人 AIを使いこなす人」(モラロジー道徳教育財団)など。モルゲンWEBの連載「清々しき人々」とパーセー誌の連載「凜々たる人生 ─ 志を貫いた先人の姿 ─」からの再編集版として、『清々しき人々』、『凛凛たる人生』、『爽快なる人生』(遊行社)など。

(モルゲンWEB2024)

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