「野鳥と私たちの暮らし」砂礫地に営巣する コチドリ
日本最小のチドリ
コチドリ(小千鳥)は、チドリ目、チドリ科の小鳥です。体長は16㎝程。スズメよりやや大きい程度で、この仲間では日本で最も小さい種類です。北海道から本州、四国、九州で繁殖し、日本では身近な水辺の鳥ですが、冬には東南アジアやオーストラリアに渡り、春に戻ってくる夏鳥です。日本のほか、ユーラシア大陸の中緯度以北で繁殖し、冬にはアフリカ北部やユーラシア大陸の南部に移動し越冬します。
黄色いアイリングが特徴
コチドリの特徴は、目の周りの黄色いアイリングです(写真上:コチドリは雌雄同色の地味な鳥です)。小さな黄色の羽毛が目の周りを取り囲んでいます。頭頂部から体の背面は灰渇色で、顔の周りは黒と白の模様、首には黒い帯があり、体の下面は白です。水辺を歩き回り、ユスリカなどの水棲昆虫を主な餌としています。水辺をふらふらと歩きながら餌を探すので、酔っ払いが酒に酔って歩く様を千鳥足というのは、この鳥の歩き方からきています。市販された普通切手のデザインになったこともあります。
河川中流域の砂礫地に営巣
コチドリの主な生活場所は、川が大きく蛇行して流れ、川幅が広い河川中流域です。3月末から4月初め、コチドリは日本に繁殖のために戻ってきます。戻ってきた当初は、ピピピピ、ピョイピョイと大声で鳴きながら飛びまわるので、今年も戻ってきたことを知ることができます。この鳥が繁殖する場所は、水辺の近くにある砂礫地です。洪水により草などの植生が流された裸地に巣を造って繁殖します(写真下:砂礫地で抱卵中のコチドリ)。巣は、地面を浅く掘ったもので、巣の底には小石、木くずなど集めた簡単なものです。4月後半から7月にかけて卵を3個から4個産みます。