「野鳥と私たちの暮らし」冬の訪れを告げる ジョウビタキ

雌雄それぞれが単独で生活

 ジョウビタキが渡来当初に盛んに鳴きまわるのは、越冬のためのなわばりを確立するためです。ヒッ、ヒッに続いて時々カッ、カッと鳴き、同種の他個体に対し威嚇し、なわばりの主張を始めます。鳴く時には、尾羽を小刻みに震わせます。その鳴き声による主張は、雌雄それぞれが行い、冬を通して単独で生活します。この点は、以前に紹介したモズが非繁殖期には雄と雌がそれぞれなわばりを確立して生活するのと同様です。餌の得にくい厳しい冬を乗り切るには、雌雄それぞれがなわばりを確立し、餌の確保が必要なのでしょう。

 秋の終わりから冬の時期のジョウビタキの餌は、小昆虫やクモ類の他に、ヤマウルシ、ヌルデ、アオノツズラフジなどの漿果、ツルマサキ、ヒサカキ、ヘクソカズラなどの実です。昆虫が得にくくなる冬には、植物質の餌が主食です。

日本で繁殖開始

 ジョウビタキは、日本では長い間冬鳥でしたが、最近各地で繁殖する個体が見られるようになりました。最初に繁殖が確認されたのは、1983年北海道の大雪山麓でした。当初は偶発的な繁殖と思われていましたが、その後本州の各地でも繁殖が確認されるようになってきました。

 2010年には長野県の富士見町、2012年には北海道上川町で繁殖が確認され、さらに2013年からは西日本でも繁殖が確認され、2013年には兵庫県の鉢伏高原で、翌2014年には岡山県でも繁殖が確認されました。その後は岐阜県、鳥取県でも確認されたほか、八ヶ岳周辺や浅間山南麓でも確認されています。今後も国内での繁殖拡大傾向が続くのかが注目されています。

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