「野鳥と私たちの暮らし」サルの顔のように赤い鳥 ベニマシコ
北海道で繁殖する鳥
ベニマシコ(紅猿子)は、体長が15㎝程のスズメよりやや小さい小鳥です(写真上:バードウオッチャ―に人気の赤い色をしたベニマシコ雄)。アトリ科の鳥ですので種子食に適応した太い嘴をしていますが、この鳥の嘴は丸くて短いのが特徴です。英名はLong-tailed Rose-finchで、体の割に尾が長いのも特徴です。さらに、バラの花のように赤い色をしているのが特徴です。ただし、赤い色をしているのは雄で、雌は褐色の地味な姿をしています(写真下:セイタカアワダチソウにとまる渡来当初のベニマシコ雌)。
ロシアの西の端から中国北部、朝鮮半島、日本にかけて分布し、日本が東の端にあたります。日本では主に北海道で繁殖する鳥ですが、一部は本州北端の下北半島でも繁殖が知られています。北海道内陸部の平地から沿岸部の藪のある草原や湿原、林縁などに繁殖していますが、冬には本州以南に移動します。
名の由来はサルの顔
和名のベニマシコは、雄の顔が猿の顔のように赤いことから名づけられました。そのため、漢字では紅猿子と書きます。日本では、ベニマシコはよく見かける身近な鳥ですが、マシコ(猿子)の名がつく鳥は、その他にオオマシコ、アカマシコ、ハギマシコ、ギンザンマシコがいます。いずれも雄は赤い色をしています。
絶滅したオガサワラマシコ
さらに、絶滅したマシコもいます。小笠原諸島の父島に生息していたオガサワラマシコです。日本列島から遠く離れた太平洋に浮かぶ小笠原諸島は、長い間無人島でした。絶滅した原因は、1930年代より人の移住が始まったことによる森林の伐採、ヤギの放牧による植生の破壊、人が持ち込んだネコやネズミによる捕食が原因とされています。