「野鳥と私たちの暮らし」サルの顔のように赤い鳥 ベニマシコ
ここでベニマシコは、カワラヒワと同じ背丈1mほどのハマナスに巣を造っていました。雄は、京都で冬に見た時以上に赤い姿になっていました。まるでハマナスの赤い花が原生花園の中を飛び回っているようでした。巣を多数見つけることができ、巣の中の小さな青い卵が印象的でした。雌雄交代で卵を温め、昆虫などの餌を巣に運び、雛を育てる様子を観察できました。
小清水原生花園で多くの鳥の繁殖を観察できたこと、特にマナスの花の中で繁殖するベニマシコをじっくり観察できたことは、若い頃の新鮮な思いでとなっています。
冬には小群で生活
そのベニマシコも10月末から11月には本州以南に移動し、翌年の4月頃まで過ごします。私が現在住んでいる飯綱山の山麓では、人家周辺の林縁で時々姿を見かけます。また、長野市郊外の千曲川でもよく見かけます。雌雄からなる5羽から10羽ほどの群れで生活し、ピッとかフイッ、時にはピッホとも聞こえる声で鳴くので、鳴き声で見つけることができます。
藪の中で過ごし、声がしても姿が見えないこともしばしばですが、時々藪の上に出て、赤い姿を見せてくれます。雄は年齢と共に赤みが増してゆき、個体により赤みにちがいがあります。セイタカアワダチソウやヨモギといった極小さな種子を丸い嘴でしごいて食べます。特に警戒心が強いわけではないのですが、意外と近づけない鳥です。そのためか、一冬に数回は出逢う鳥ですが、私はまだこの鳥の良い写真を撮れていません。 今回、ベニマシコの写真は中山さん、宮本さんが撮影されたものを使わせていただきました。