「野鳥と私たちの暮らし」身近な鳩 キジバト

粗末な巣を造り繁殖

 キジバトは、同じく都市でよく見かけるドバト(カワラバト)とは異なり、群れになって行動することはほとんどなく、また集団で繁殖することもありません。ほぼ通年単独またはつがいで行動することが多く、一夫一妻のつがいで繁殖します。巣は樹上に造られますが、枯れ枝を積み重ねただけの皿状の粗末な巣です。多くの鳥の巣は、産座には鳥の羽など保温性の高い巣材を使うのですが、産座にあたるものが無く、下から卵が透けて見えます。

 雄は春から夏にかけて、巣のある場所を中心に比較的狭い範囲をなわばりとして防衛します。上に向かって飛び上がり、その後滑空する誇示飛翔を行い、なわばりを主張します。また、よく知られている「デ、デ、ポッ、ポー」と聞きなされる声でさえずります。

産む卵の数は常に2個

キジバトは樹上に造った粗末な巣に、必ず2個の卵を産んで温めます。キジバトよりずっと体の小さな小鳥の多くは、通常数個の卵を産みます。また、キジバトよりずっと体の大きなキジやカモ類では、十数個の卵を産む鳥も少なくありません。ですので、キジバトの産む卵の数は、他の鳥と比較すると少ないと言えます。少なく産み、雄と雌が協力して子育てにあたることで、確実に雛を育てる戦略をとっているのでしょう。卵は、抱卵開始から15日間で孵化します。

 キジバトの繁殖でもう一つの特徴は、年間に数回繁殖する点です。一回当たりに産む卵の数が少ないのを補うように、繁殖回数を増やしているのでしょうか。繁殖は、春から夏の時期が中心ですが、秋や冬の時期にも繁殖することがあります。

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