「野鳥と私たちの暮らし」オオジシギ雷シギとも呼ばれる オオジシギ

明らかにしたいこと

 当時、この鳥の繁殖生態はほとんどわかっていませんでした。ですので、私が30歳代の終わりの頃、この鳥をぜひ研究をしたいと思い、研究室の学生に一緒に調査しないかと誘ったところ、重盛究君が卒業研究として取り組むことになりました。

 私は、千曲川でカッコウの托卵研究に本格的に取り組んでいた時期です。この鳥が渡ってくるのは4月中旬で、カッコウが渡ってくる前までの1ヶ月間は、彼の調査を手伝えます。また、彼が調査できない時には、私や他の学生がその間調査することにしました。

 明らかにしたいことは、3つありました。一つは、夜間も含めこの鳥の一日を通しての生活を明らかにすることでした。2つ目は、あの賑やかな誇示飛翔はどんな意味を持っているのか、3つ目はこの鳥の雌雄関係や社会構造の解明です。調査地は、大学から車で20分にある飯綱高原の大谷地湿原に決めました。

どうやったら捕獲できるか

 まず、最初にやったことは、この鳥を捕獲することです。上記の課題の解明には、この鳥を捕獲し、電波を出す発信機を装着することが必要です。1年目の1986年は、湿原のあちこちにカスミ網を張るなどしましたが、1羽も捕獲できませんでした。2年目には工夫を凝らし、カスミ網をV字型に2枚張り、その中央にこの鳥の剥製とスピーカーを設置しました。人は、近くに張ったブラインドに隠れ、朝のまだ薄暗い時間に誇示飛翔を開始したら、この鳥の地上でのズビーの鳴き声をスピーカーから流すことにしました。この作戦は見事に成功し、2年目には5羽を捕獲し、発信機をつけることができました(写真2)。

 捕獲し、背中に発信機を装着して放鳥した雄。

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