「野鳥と私たちの暮らし」冬の訪れを告げる ジョウビタキ
大陸で繁殖し冬に訪れる
ジョウビタキは、スズメよりやや小さなヒタキ科の小鳥です。雄は、頭が銀白色、顔から喉が黒、胸から腹がオレンジ色ですが(写真上:冬に訪れるオレンジ色のヒタキ ジョウビタキの雄)、雌は灰色がかった茶色で、尾の両側と付け根はオレンジ色をしています(写真下:雌は尾の付け根と尾の両縁がオレンジ色)。雌雄共に翼に白斑があるのも特徴です。ジョウビタキの名の「ジョウ」は、雄の頭部が老人の白髪に似ていること、「ヒタキ」は火打石を打つカッ、カッと聞こえるこの鳥の鋭い声の「火焚」から名づけられました。
チベットから中国東北部、沿岸州、バイカル湖周辺の大陸で繁殖し、日本には冬に訪れる鳥です。一般的には標高900m以下の雪の少ない平地から低山の農耕地、住宅地、公園、河原などに飛来し、ほぼ全国で見られる身近な鳥です。
冬の使者
秋も深まった10月下旬頃に日本を訪れ、渡来当初はヒッ、ヒッと盛んに鳴きますので、その声でこの鳥が渡ってきたことを知ることができます。冬の使者としてマスコミでよく白鳥が取り上げられますが、ジョウビタキの方は人の生活圏に広く見られる身近な鳥ですので、鳥に関心のある方にはこの鳥の方が来るべき冬の到来を告げる冬の使者にふさわしい鳥と言えるでしょう。私の住む長野市郊外の飯綱山の麓では、この時期に毎年鳴き声を聞くことができ、大学に勤めていた頃には大学の校内でもよく聞くことができました。