• 十代の地図帳
  • 各界の著名人の十代の道程にその道に入る心構えやヒントを見る

矢野 喬子さん(元全日本女子サッカー代表、サッカー指導者)

現役後、神奈川大学ではコーチを務められます

 選手を辞めてすぐ指導者だったので、選手と指導者の違いに最初は戸惑いました。選手の時には自分のパフォーマンスさえ良ければ、それがチームのためにもなる。それが今度は、自分の状態が良くてもチームの結果には繫がらない。いかにチームのモチベーションを上げて、全体のスキルアップをしていくかが大事です。技術だけ教えるのはそんなに難しくない。でも、やる気にさせるため必要なことは、ひとり一人みんな違うんです。凄く難しい2年間でした。今はオリンピックを見据え、解説や違う仕事の比重を高めようと、指導からは離れていますが、必ずまた、指導者としてグラウンドに立つつもりです。そしていつかはなでしこリーグの監督も、と目指しているんです。

現在はどんな活動を

 今は、平日は主にオリンピック関連で小・中・高校を回っています。週末はサッカースクールの指導で地方へ行ったり、なでしこリーグの解説の仕事が入ります。

サッカーを続けて良かったと思うことは

 W杯をきっかけに子供からお年寄りまで見に来てくれる方が凄く増えました。でも、女子サッカーはW杯、オリンピックの後に盛り上がりを見せる反面、しばらくすると観客動員数がまた落ちてしまうんです。ただ、サッカーをする女の子はもの凄く増えていて。裾野は確実に広がっています。今は女の子がサッカーをしていると「ああ、なでしこジャパンを目指しているんだね」と言われます。私の子供の頃とはそこが全然違って。子供たちに夢を与えられた、それを私の両親もとても喜んでくれて。それが一番、サッカーを続けて良かったことですね。

やの きょうこ 1984年、神奈川県生まれ。湘南学院高等学校を経て、神奈川大学に進学。大学在学中の2002年から12年まで日本代表を務める。11年FIFA女子ワールドカップドイツ大会優勝、12年ロンドンオリンピック準優勝など“なでしこジャパン”の一員として活躍。 国内リーグでは浦和レッドダイヤモンズ・レディースに所属し、13年に現役を引退。現在はサッカー解説や次世代選手の育成指導を全国各地で行っている。

(月刊MORGENarchive2015)

関連記事一覧