『言いにくいことはっきり言うにゃん』

Jam/マンガ・文
笠間書院/刊
本体1,200円(税別)

人間関係や恋愛、さまざまな悩みにアドバイス

 私はこの書籍を読んで何回もこの黒猫の言葉に救われたような気がしました。この書籍に出てくる色んな猫はみんな、仕事や、人間関係、恋愛、そして自分に関しての悩みを抱えています。その悩みを、黒猫のキャラクターが一刀両断していきます。しかし、イラッとしたり、厭な気分になることは一切ありません。題名の通り、「言いにくい事」をズバズバと言う黒猫ですが、その問題の本質をついていて、「少し傷つく…。だけど、こんなこと誰かに言って欲しかった!」と思えるような発言ばかりしてくれます。ユーモラスでキャッチーなイラストの四コマ漫画で問題やそれに対する黒猫の発言が繰り広げられ、その後の作者の文章で、具体例や説明などをわかりやすく、優しい言葉で綴られている構成になっています。特に私に刺さったのは、No.51の人と親密な関係が築けないという悩みに対する黒猫の返答です。

「親密な相手がいればいいってもんじゃない。親密なほど相手に求められる時間や責任といった対価がある。親密な相手がいなくてもなんとかなっているのだから、今のうちに自由を満喫しておくべき。」

 私にはそれほど親密と言えるような相手はいないし、そのような関係を築くことも苦手です。それを気にしていた部分もあったのですが、この台詞と文章を読んで、「その通りだ」と素直に納得できたし、言語化できないようなモヤモヤから解放されました。

 現代の日本人に必要なのは成功を語るような自己啓発本ではなく、このように忖度なく欲しい言葉を訴えてくれるこのような本なのではないでしょうか。

(評・東京成徳大学高等学校2年 村田 侑奈)

(月刊MORGENarchive2020)

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