『君に伝えたいこと　15歳の人生レッスン』

姜 尚中／著
自由国民社／刊
本体1,000円（税別）

苦しい「通り道」に心の支えになる言葉

『君に伝えたいこと』では「⒖歳の人生レッスン」というサブタイトルであるだけに、「自分が何か分からない」「家族や学校での人間関係などに悩んでいる」「なんだか、なんとなく時間が過ぎている気がする」そんな風に思ったことはないだろうか。私とそう年齢が変わらない人でも、そうでない人でも一度は思ったり、感じたことがあるのではないだろうか。あるいは、現在そのように感じている人も多いのではないだろうか。そのような人に響く言葉がたくさんある。それだけでなく、そうでない人も何か感じるものがあるのではないだろうか。

　この本で一番心に響いたのは「もしも君が学校や家族といった環境に悩んでいるとしたら、君にはまだたくさんの時間があることを僕は、伝えたい。君には未知のものがあり、時間があれば必ず人との出会いがある。」という言葉だ。私は一時期、人間関係に悩んでいた。そのことから塞ぎこんだりもした。けれども、今は仲の良い友人と楽しくしている。今が最悪だと嘆いてもいい。ただそこで人生を投げ出さないで踏ん張れば、必ず人と出会う。いい出会いも悪い出会いもある。それらが私という人間を育てる。苦しいのは通り道なのだと思えた。

　⒖歳を目前にしている私は、本書のようなテーマのものは苦手なのだが、本書は何故だかすんなりと心に入ってきた。「これから」について考えなくてはいけない時期だが、未来や人生など想像もできない。不安でいっぱいだ。そんな時に心の支えになるのは言葉や本であると思う。そのように感じる人に本書を読んでもらいたい。少しは何か、道が見えるのではないだろうか。

（評・北中野中学校三年　伏井 美結）

（月刊MORGENarchive2016）