「わたしのマンスリー日記」第15回 130パーセントのコンサート
ちばてつや先生の飛び入り!
昨年に続いて、3.11チャリティー・コンサートにバケツ隊の一員として参加しました。バケツ隊とは募金用のバケツを持って並ぶ一隊を意味するのですが、昨年ご一緒した音楽評論家の湯川れい子さん、作詞家の東海林良さん、コラムニストの山田美保子さん等との再会の場ともなりました。そして後で述べるように、女優の藤真利子さんとの出会いもありました。嬉しかったのは、ちばてつや先生が飛び入りで参加してくれたことです。ちば先生とはすでに30年のお付き合いになりますが、ちば先生こそこのチャリティー・コンサートの趣旨にかなったアーティストだと言っていいでしょう。作品に表れているように、ヒューマニズムの塊のような先生で、私がALSに倒れた後も陰に陽に励ましをいただいています。本当に、本当にありがとうございます!
音楽は完璧なのか?
今年のコンサートにも圧倒され続けました。この迫力はどこから来るのだろう。そう思わざるを得ない4時間でした。去年のコンサートで考えたことは本連載の第3回に「壁のないコンサート――『利他の精神』」として書きましたのでご覧ください。とにかく普通のコンサートとは趣が一味も二味も違う。3.11で被災した人々を支援しようという一心で集まった一大イベントでした。コンサートを聴きながら圧倒されるのは、完璧に見える音楽の技量によるものです。音楽に対して素人の私にはどのアーティストのパフォーマンスも完璧、パーフェクトに見えるのです。しかし、大変失礼な言い方ですが、人間がやることですから小さなミスはあると思うのです。コンサートを聴きながら自分の仕事を振り返っていました。私の今の仕事は本を書くことですが、どうしても完璧とまではいかず、ミスは出てしまうのです。地名本では細部の内容の誤りを指摘されることもありますが、それ以外に誤字・脱字などの校正ミスが出ることも避けることはできません。要するに人の手による作品である以上、完璧に仕上げることは困難だということです。そんな思いで今年のコンサートを聴いたのですが、新たな発想が生まれました。それが「130パーセントのコンサート」です。