「わたしのマンスリー日記」 第9回 水害地名の反響あれこれ
【8月19日】シャープさが増してる?
極めて厳しい条件下におかれても全く変わらずに谷川さんが旺盛な執筆意欲とものすごい生命力を発揮して新刊書を刊行されたことに敬服します。そしてその著書に込められた谷川さんの魂からの叫びともいうべき言葉一つ一つに触れることができたことに深く感動しています。(中略)
それにしても私が言うのはおこがましいですが、谷川さんの文章表現力はALS罹患以前よりも切れ味が鋭く説得力が一段と増してきているように感じます。よくもまあこの新刊書の原稿となった毎日新聞デジタルの記事を38回も連載できたものだと頭が下がります。
とてもALS罹患者の記事だとは思えません。これはやはり奇跡の1冊です。
(大学同期 稲村貢さん)
*稲村さんの言われるように、以前の著作に比べるとシャープさが増しているかもしれません。皮肉な現象ですが、ALSに罹って手足は動かなくなってしまった反面、知能は少し進歩したように思います。昔は学生から「先生はすぐ忘れるんだから……」とあきれられるほど記憶力が鈍かったのですが、今は抜群の(?)記憶力を誇るに至っています(笑)。理由は簡単です。メモが取れないので記憶するしかないのです。
もう一つ進歩したのはパソコンの操作技術ですが、これは私にとってはパソコンが社会とつながる唯一のコミュニケーションツールだからです。
【8月29日】「目から鱗」
先生のご著書を拝読するたび、「この地名もあの地名も、過去の人々からのメッセージなのだ」と、目の覚めるような心地になります。
故郷鹿児島の地名「川内」「出水」、そして「牟田」。日々通勤で坂を下って辿り着く「落合」駅……。更に、不思議に思っていた大阪駅と梅田駅の関係についても、「そうだったのか!」と目から鱗が落ちる思いがいたしました。
(小学館 第三児童学習局 楠元順子さん)
*3年前『ドラえもん探究ワールド 自然の脅威と防災』(小学館)の執筆でお世話になった編集者さん。この本は中国語に翻訳され、台湾でも販売されています。この本に書いた「地名でわかる災害」という小文が楠元さんの評価を受けたのがきっかけ! この小文が今回の『全国水害地名をゆく』の基本的なフレームになっています。