「わたしのマンスリー日記」第17回 「死なないでください!」
今考えると、良く打ち明けてくれたものと感じ入ってしまいます。私は山口さんの勤める学校とは無縁ですので、実情はわかりません。しかし、管理職にある一教師の抱える悩みは十分伝わってきました。彼女はそれ以前に「私は今人生の重大な岐路に立たされています」とFacebookに投稿してきたことがあったのですが、その人生の岐路とは、それまで数年務めてきた教頭職を返上しようというところにあったのです。
彼女の苦悩が理解できたのは、私も現役時代同じ苦悩を抱えていたからです。私は筑波大学時代の最後の10年近く、管理職に就かされ散々な苦労を味わわされました。詳しくは第12回の「林真理子理事長辞めなくていいですよ!!」(2023年12月)に書きましたのでお読みください。
ただ名誉のために言っておきますが、自分が管理職に向いていないとは思いません(笑)。むしろ幼少期の「お山の大将」よろしく中学校では生徒会長を務めましたし、大学の教員になってからも「連続セミナー 授業を創る」に代表される組織を作りトップを走ってきました。
ただ最大の欠点は既成の組織の中の一コマとして働くことが苦手だったことです。山口さんにも同じ傾向があるのかもしれません。
乗り越えた壁
以上述べたことは後で考えたことで、このメッセージを受け取った時は私はまさに生き地獄の中にいたわけで、次のように返すのが精一杯でした。
【谷川→山口(2/5)】
エンジン01in市原が終わって定期検査入院したその場で、コロナと診断され地獄のような体験をしました。貴女の状況はわかりました。落ち着いたらメールしますね。谷川彰英
【谷川→山口(02.09)】
これは生き地獄です。退院の15日が早く来るよう祈ってください。
すると驚くべき情報が飛び込んできました。まずはお読みください。
【山口→谷川(2/11メール)】
谷川彰英先生
谷川先生、先生の苦しさを思い、言葉が見つかりません。必ず治ると、
そしてお会いできると信じています。
私は、教頭を辞する申出を撤回しました。逃げずに、地域の方々へのご恩返しと、 子どもたちとやり残した挑戦と、専門職として学び合う学習共同体づくりのために、立ち上がろうと決めました。
谷川先生も病気と闘っておられる、私もイバラの道を選びました。「考え方と工夫」で、おもしろく楽しくしていきます。
先生と出会わせていただいたからです。
生き地獄を共に、
命の花を咲かせましょう!
我ここにあり。
15日を指折り数えてお待ちしています‼️
山口小百合
このメッセージを読んで涙が流れました。「私は、教頭を辞する申出を撤回しました」という一言に心から拍手を送りました。「凄い! 良く決断した。頑張れ、応援してるぞ」――まだ会ったこともない一教師へのエールでした。