「わたしのマンスリー日記」第18回 幸福な死――「野菊の墓」

 私は病院のベッドの上で、ずっと『野菊の墓』の民子の死について考え続けました。これといった結論など出たわけではありません。
改めて『野菊の墓』を読んでみました。最後のくだりを読んで涙が溢れ、ただ、ただ泣きました。それでいいのだと思いました。人の人に寄せる透明な愛に感動したからです。

野菊の墓文学碑

谷川 彰英 たにかわ あきひで 1945年長野県松本市生まれ。作家。教育学者。筑波大学名誉教授。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。千葉大学助教授を経て筑波大学教授。国立大学の法人化に伴って筑波大学理事・副学長に就任。退職後は自由な地名作家として数多くの地名本を出版。2018年2月体調を崩し翌19年5月難病のALSと診断される。だが難病に負けじと執筆活動を継続。ALS宣告後の著作に『ALSを生きる いつでも夢を追いかけていた』(2020年)『日本列島 地名の謎を解く』(2021年)『夢はつながる できることは必ずある!-ALSに勝つ!』(いずれも東京書籍刊)がある。

(モルゲンWEB2024)

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