『ハルくんの虹 ―カメルーンと日本 愛と希望のリレイ―』

上斗米 正子/著
遊行社/刊
本体1,900円(税別)

親子での読み聞かせや仲間との輪読に

 表紙の絵を見た途端に、ほとばしる生命を感じ、ページをめくるとドンと胸を打つあどけない顔が現れてびっくり!圧倒されると同時に、おもわず絵本に引き込まれました。

 遠いアフリカのカメルーンからきた一人の若者は目の前に繰り広げられる
日本の“今”を見て素直な感想。

 清潔できれい、便利なものが街にあふれている。でも何かが足りない。人は親切だけど、いつもスマホと孤独に話している。ところが、彼が出会った日本の家族や友だちの中に一歩足を踏み入れてみたら、皆は日本語だけでなく、英語、フランス語~なんでも、片言でも仲良くなろうと自分から話しかけてくる。そして、自分の母語カメルーンのンゾ語も、聞くと同時に真似をして、歌ったり、踊ったりの人たち。まるで、カメルーンの故郷に帰った気がした。ああ!
これが人間らしい出会いの場なんだなあと感じました。

 この若者は日本のホストパパの名前「ハルシ」を息子の名前につけた。心が近いと物理的な距離は関係ない。電気もガスも無いカメルーンの村へ。でも、そこには無いものは無い~全てのものがあった。ついに出会ったハルくん3歳の様子に目を見張った! 素直に驚き~人影に隠れ~、お別れの時はじっと見つめて佇んでいる。読み進むうちに涙があふれ胸を打たれ、ほっこり心が温まります。

 そして、この「ちっちゃな虹の手たち」のつながりが、きっと次の世界を創ってくれる嬉しさと確信に変わっていきました。日本語、英語、仏語、ンゾ語も優しくて親子で読み聞かせしたり、仲間と輪読したり、ンゾ語を自分流で音にして
読んだとき、みんなで大笑い!カメルーンがグーンと近くなりました。

「ハルくんの虹」を囲んで、出会う人々、友だちや家族の温度がグーンと熱くなりました.

(評・ヒッポファミリークラブフェロウ西東京市 井内 わか)

(モルゲンWEB2022)

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